筆者がこれまで、社内外の国内、外資企業を渡り歩いてきた中で出会った、個性豊かな人たちの中から、経済的にも時間的にも恵まれた、選りすぐりの人たちをご紹介します。
いわゆるお金持ちを分析した本では見られないような人たちで、万人向けの方法では決してありませんが、お金に好かれるには、こういう方法もあるというのを知って頂ければと思います。
今回、ご紹介するのは、筆者が出会った時には御歳70歳を超えて、なお血気盛んな「女性経営者」です。
彼女が経営している会社は、不動産業のほか、小売業、卸売業、リゾートビジネスなど実に様々なビジネスで、全ての事業が順調といったわけではありませんでしたが、その財務の安定性から、帝国データバンクでも、長期間に渡って高い企業信頼度を維持する、優良企業として知られていました。
筆者はその企業に勤務した際、社長の側近として働く機会に恵まれ、彼女のこれまでの人生、そしてビジネス、プライベートに関することまで幅広く、教えて頂きました。
本人の承諾を得た上で、筆者が彼女との話の中で得た「お金に好かれる人」のポイントを説明してみたいと思います。
筆者が彼女との話の中で、繰り返し教えられたのは、
「考え過ぎないこと。考えることは悪いことではないけど、考えすぎて実行しないぐらいだったら、実行して小さな失敗を積み重ねた方がよほどいい」
「目の前に起こっていることが上手くいかないからと言って、考えすぎて、すぐにやめてしまうのもいけない」
ということでした。
説明していきましょう。
彼女自身、アイデアを出すのが大好きな人で、会社の些細なことから、大きなビジネスのことまで、日常的に、「ここはこうしたら?」「あれはこっちの方がいいかしら?」「こんなことを思いついた!」といったことを口にする人でした。
そして、筆者や他のスタッフに聞きながら、そのアイデアを実行するか、どうかをすぐに決めていました。
規模の小さなことであれば、「テスト導入」という形で社内で変更がどんどん加えられていきます。
その後、そのテスト導入の効率が悪い、評判がよくないということが分かると、すぐに改められます。
では、大きなお金が動く事案はどうでしょうか?
彼女は、「テスト」と「コスト」を天秤にかけながら、慎重かつスピーディにビジネスを推し進めていきます。
ビジネスに関する哲学は、シンプルでした。
○競争力があるかどうか
○需要があるかどうか
○利益が出るか
概ね、この3つです。
彼女は、その3つの哲学をもとに、ビジネスを展開していくのですが、若い時はたくさん失敗もしたそうです。
しかしながら、彼女は失敗したことについて、次のように語ります。
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頭の良い人は、失敗を恐れて、
「儲からない。」
「今は時期が悪い」
「日本では無理だ」
なんてことばかりを言います。でも、私はそんなのやってみなくちゃ分からないと思ってたわ。
確かに、世間知らずで思い上がりだったところもあったかもしれないわね(笑)
でもね、失敗に失敗を重ねるうちに、周りのみんなが止めた方がいいよって言われた中から、上手くいく商売が出てきたのよね。
その中には、今まで続いている事業もあるわ。
結局、今の私があるのは、ダメかもしれないなんてことを考えすぎずに、「実行」したからなのよ。
どんなビジネスだって始める前は、難しい面やリスクはあるわ。でも、それをいつまでもいつまでも考えていてもどうしようもないの。
始めないと成功はないのよ。
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筆者は、これに近いことを数年間、教えられ続けた結果、その会社に入る前に比べて、とにかく「実行」することを心がけました。
ビジネスプランを書く、コストを計算する、人を探す、ビジネスプランを実行してみる…などなど、考えすぎずに、色々と実行してみました。
すると、実行する前には分からなかったことが次から次へ出てきます。そして、次はこうするともっとよくなるんじゃないかとということが分かってきます。そして、トライ&エラーを繰り返していきます。
そうして得られた経験は、いつの間にか、他のビジネスでも生きてきて、失敗を重ねるうちに、どんどん失敗しない方法をいつの間にか学んでいたのです。
つまり、次の成功を今の失敗が支えていたのです。
頭の良い人は、人は合理的に動くはずだと考えているかもしれません。しかしながら、実際には、人間社会の至るところで、非効率的なことがしばしば起こっています。
そして、一見、非効率的だけど、その非効率性が参入障壁となり、ビジネスとして成功している事例もあったりします。
70歳を超えて、これまで、多くのチャレンジをして、失敗を重ねた女性経営者が語るお金に好かれる秘訣、いかがでしょうか?
「考え過ぎないこと」
そして、何よりも「小さな行動」をまず起こしてみることが重要であることがお分かり頂けましたでしょうか?
彼女が上手く行ったからと言って、むやみやたらに行動を起こせばいいというものはありませんが、考えすぎて、行動に移せないぐらいなら、小さな一歩を踏み出してみるのも十分、価値のあることだと思います。