○いい答えはいい問いに導かれ、いい問いはいい会話に繋がる
人に好かれる話し方の技術の一つに「いい問い」をするというのがあります。ここでは、会話の中でリズムをつけるのに重要な「いい問い」について考えてみたいと思います。
まず、「いい問い」をするためには、少なくとも以下の3つの条件をクリアしなければいけません。
○できるだけ簡潔であること
○質問内容が核心を突いていること
○答える価値のあるもの
細かい条件は他にも色々とありますが、まずは上の3つをクリアしていれば、きっと「いい問い」になっていくと思います。それでは、順番に見ていきましょう。
○できるだけ簡潔であること
質問というのは、長々としていると、回答をする受け手側の焦点が定まりにくく、場合によっては、回答者が答えてくれない、あるいは、答えにくくすることにつながってしまいます。できるだけ簡潔にすることで、より研ぎ澄まされた「問い」になり、相手が答えやすくなります。
この答えやすいというのが、実は重要なポイントで、「答えやすさ」は会話にリズムを生み、そして会話をより円滑なものにしてくれます。
まず、「いい問い」をするためには、前提となる会話をよく聞き、そしてよく考えなければできません。そうして考え抜かれた後に生まれた「いい問い」は、これまでの会話の中に、別の視点やさらに付加価値を与えていきます。この別の視点や新しい価値観が会話に変化を与え、リズムを生みます。
そして、「いい問い」が相手を刺激し、さらに会話の幅が広がると、会話はよりスムーズになり、会話がより実りのあるものになるというわけです。
ただ、簡潔にしすぎて、質問の趣旨が伝わっていない場合は、「問い」の補足として説明が必要になりますので、注意が必要です。
○質問内容が核心を突いていること
「いい問い」の条件として、一つだけ挙げるなら?と聞かれますと、恐らくこれを選ぶほど重要なポイントである
「質問内容が核心を突いていること」
「質問」は確かに会話の中にリズムを生む貴重な技術の一つですが、使い方によっては、その逆でリズムどころか「ひずみ」を生みかねません。
例えば、ある人が熱心に自分の思いを説明してくれたとします。
その時に、ピントが外れた質問や、まるで聞いていないかのような質問や、通り一遍の質問をしたとするとどうでしょうか?
おそらく、回答する側は
「あぁ、この人は自分の話を聞く気はないんだろうな」
と判断する場合がほとんどでしょう。そうなると話し手はもうココロが離れて、話す気を失くしてしまいます。
しかし、そのとき聞き手が「質問」ではなく、「相槌」を選んでいたとすると、どうでしょうか?
話し手にそこまで印象は悪くせずに済んだかもしれません。
では、そこで「核心を突くような質問」をした場合はどうでしょう。
話し手は
「この人は私の話をよく聞いているし、理解もしている、そして視点を変えた的確な質問をする人だ。この人の前では、あまりいい加減なことは言えないな」
となります。
上の例を簡単に表すと
「いい質問」>「相槌」>「悪い質問」
のような感じとなります。
では、「核心を突く質問をする」にはどうしたらいいのでしょうか?
やはりまずは、「集中して相手の話を聞く」ことになります。
あとは、しぐさや表情などあらゆるものを観察して相手の話の本質を探り出していきます。
そして、その後は、自分が素直にもっと聞きたいと思うことなどをなるべく簡潔に質問してみます。
○答える価値のあるもの
質問には、「いい問い」から「悪い問い」まで様々なものがありますが、気をつけなくてはいけないのが、答える価値のあるものかどうかというのがあります。
概念上では、一見、的確な質問のように聞こえても、その実、机上の空論に過ぎないようなケースも少なくなく、果たして、話し手が答えてくれたものの、それほどの価値があったかどうか疑わしいものもあります。
よくあるのは会議などで、質問そのものはいいものの、本来議論すべき内容が飛躍していき、会議後には、決めるべき事項がほとんど決まらなかったということがあります。また、予想以上に会議が長引くなんてことも少なくありません。
見識のある方の意見などは確かに傾聴に値する話しが多いのですが、質問内容がその場において、答える価値のないものになってしまうと、やはりその質問がその場においては「いい問い」ではなかったということになります。
~まとめ~
「問いかける」これは、能動的に相手に話してもらうための貴重な方法の一つです。タイミングさえ良ければ、以下のような簡単な質問も相手との距離を縮めるチャンスになります。
「あれ、髪型変えました?」
「週末はどうでした?」
「さっきの説明すごい分かりやすかったです。説明するときに大切にしていることって、ありますか?」
「なぜ、○○さんは、そんなに前向きでいられるんですか?」
相手に好かれる会話力として、「問い力」を是非!