人前に立ち、滑らかな語り口で人を惹きつけるような話し方をできる人は、仕事やプライベートを問わず、周囲の人に好かれますが、筆者は以前も今も、残念ながら人前で話をするときに緊張してしまい、特に大勢の人前で話をすることは、大の苦手です。
しかし、仕事柄、大勢の人前で話さざるを得ないことも多く、何とかあがり症を克服しようと、様々なことを試してきました。
筆者が実際にトライしたことと言えば、本を読んだり、DVDを観たり、インターネットで調べたり、あとは、セミナーなどに出るといったものです。
それらの中で紹介された緊張をほぐす方法には、重複している方法もありましたし、ユニークな方法もありましたが、筆者がプレゼンやスピーチなどで実際の現場で実践して、さらに筆者が効果を実感できたものとそうでないものがありました。
筆者の独断ですが、人前で話すときに緊張をするポイントが人それぞれ違うのだと思います。
今回は、筆者が知り得た方法に加えて、筆者独自に編み出した方法の中から、「すぐに実践できる簡単な方法!」を厳選して紹介していきたいと思います。
1.姿勢を良くする
姿勢については、筆者はかなり気をつけています。意識的に胸を張り、背筋を伸ばすように心がけています。それは、立って話すときも、座って話すときも同様です。
猫背気味ですと、どうしても自分の視野も狭くなりがちで、話を聞いている側に対して、自信を持って話せないばかりか、緊張が緊張を生んでしまいがちです。
緊張をしないための方法の一つに、聞き手と”向き合う”というのがあるのですが、小難しいメンタルトレーニングの話は別として、姿勢をよくするだけで、聞き手に自信を持って向き合うことができ、緊張がほぐれるというよりは、腹が据わります。
また、これは次の「声を届ける」にもつながってくるのですが、姿勢を良くして話すのと、姿勢を崩して話すのでは、声の通りが全然、異なってきます。これは、ボイストレーニングを経験された方であれば、よくご存じのはずです。
筆者は姿勢を良くするだけで、随分と緊張することが軽減できています。
2.声を届ける
緊張すると、声が震える・・・。緊張すると、どもってしまう・・・噛んでしまう・・・。筆者も何度も経験していますが、人前で話すときに緊張してしまう人は少なからず、同じような思いをした人がいるのではないでしょうか。
筆者は、緊張感を和らげるために姿勢を良くすることを先に述べましたが、姿勢を良くすることで、”声を通し”たり、”声を届ける”といった「発声への意識」も重要であると考えています。
緊張する人は、人前で話すとき、ちゃんと”話そう”としてしまうあまり、その結果、”口だけ”で話そうとしてしまいがちで、その結果、声が震えたり、噛んでしまったりしてしまいます。
口だけで話すということについては、カラオケをイメージして頂ければ、分かりやすいかと思います。カラオケの上手い人は、口だけで歌うのではなく、喉やお腹を上手く使って、声量や声色を変幻自在に操っています。
緊張せずに会話をするためには、それと同様の原理で、口だけでなく、口、喉、お腹を上手く使いながら、”話す”のではなく、声を届けようとしてみてください。きっと、かなり緊張感が和らぎます。
姿勢を良くして、お腹から喉、そして、口へと発声し、聞き手に声を届ける。
この2つだけでも、かなり自信を持って話せるようになり、緊張感が拭えるようになると思います。
3.深呼吸+息をゆっくり吐く
昔から緊張したときは、一息入れて、ゆっくりと深呼吸した方がいいと言われますし、筆者も実際にスピーチの前などは深呼吸をしたりします。
しかし、会議のときに、スピーチが順番で回ってきて、自分の番が来る前に深呼吸するというのは、周囲の目もあったりして、なかなか簡単ではなかったりします(^^;)
そんなときに、筆者がおススメなのが、息を吸うこととは反対の、できるだけ長く、ゆ~っくりと息を吐くというものです。筆者はまるで潜水しているかのように、1分や2分といった時間をかけて、少しづつ息を吐いたりしています。
息を吐くことに集中することで、「失敗したら・・・」といった雑念に気を取られないで済んだりします。何より、静かに長く息を吐いているので、周囲に気づかれずにできるというのがいいところだと思います。
4.「あ・い・う・え・お」をおおげさに
緊張をすると、顔がこわばったり、口に力が入ったり・・・ガクガクしたり・・・そんな経験がある人も少なくないのではないでしょうか。
そんな時に、緊張をほぐすのに物理的におススメなストレッチが、「あ・い・う・え・お」を思いっきり口を広げて行うことです。
もちろん、人前でこれをするのは、恥ずかしいかもしれないので、スピーチやプレゼンの前に、人目のつかないところなどで、この顔面と口のストレッチを行うだけで、かなり緊張感がほぐれます。
筆者は、緊張が取れないときは、「あ・い・う・え・お」だけでなく、「か・き・く・け・こ」や「さ・し・す・せ・そ」などもやったりします。
5.ガムをかむ、梅干しを食べる
筆者は極度の緊張のときは、ひどく口の中が乾燥して、口の中も喉もカラカラになります。
そこで、筆者が考えたのが、強制的に口の中に水分を発生させるために、ガムをかんだり、梅干しを食べたりするというものです。
ガムの種類も最近は色々な種類のものがありますが、甘くて、フーセンガムができそうなぐらい柔らかくてボリュームのあるタイプを選びます。それは、口の中を少しでも多く、潤わせたいからです。
また、乾燥させた梅干しも効果的です。人間は物理的に酸っぱいものを口の中に入れると、水分が分泌されますので、ガム同様、強制的に口の乾燥を防ぐことで、緊張感をほぐすことができます。
とは言いましても、スピーチやプレゼンの最中にガムを噛むのは、日本ではあまりいい印象は与えることができないと思いますので、直前までという形がいいと思います。
筆者は実は長年の経験から、話すのに邪魔にならないように、まるで口の中にガムがあるとは思えないように、口のなかにガムを残す方法を会得しておりまして、これを実践できますと、口の中の乾燥はかなり抑え込むができますので、緊張感はかなり低減できます。
6.身なりを整える
「人はその制服通りの人間になる」と語ったのは、あのナポレオンですが、筆者もそれは同意です。
筆者がまだ社会人駆け出しのころは、あまり身なりの重要性を認識していませんでしたが、あるときに、たまたま知人の好意で、高級ブランドのスーツを仕立ててもらえる機会に恵まれまして、その高級スーツを実際に身に纏ってからは、周囲からの目や自分への意識が変わったのを明らかに実感しました。
勝負服というとやや大げさですが、自信を持って人前に出るために服や髪型など身なりを整えることは、緊張感をほぐすのに、かなり有効な方法の一つです。
ちなみに筆者はそれ以降、スーツはすべて、オーダーメイドで作っています。
7.手汗を止める
冒頭で筆者は今でも人前で話すのが苦手であるということを説明しましたが、その理由の一つに緊張すると「手汗がひどい・・」という体質があります。
手汗が”厄介な”ところは、物理的に手汗が出ていることを意識してしまい、それが原因でさらに緊張してしまうということです。
大事なプレゼンのときに、紙の資料を他の参加者に渡すときなどは、ハンドタオルで何度も何度も手を拭かなくてはいけないほどです・・。
そこで、筆者は手汗を止めるために様々な制汗剤を試したり、自分でミョウバン制汗水を作ったりしましたが(効果は期待あるものの手間がかかりすぎるのが欠点・・)、無着色・無香料で人気を博している手汗専用の制汗剤ファリネで、何とか手汗を止めることに成功しています。
緊張すると手汗が出て困る・・・という方は、手汗を止めることができれば、それだけでもかなり緊張感が和らぐことを実感できるはずです。
8.人の好き嫌いや人の相性ではなく、話題や議題に集中
これまでは、どちらかという身体的な方法や物理的な方法が中心でしたが、最後に一つだけ精神的な方法を挙げたいと思います。
筆者が公私に渡って、人前で話すときに緊張するのは、それは”人前”、つまり、他人がいるからです。
そんなこと分かってるよ・・・と思われるかもしれませんが、実はここが重要で、聞き手はもちろん非常に大切な存在なのですが、緊張しないためには、聞き手からさらに一歩踏み込んで、話題や議題に集中するということが大切です。
あの人はいつも批判的なことばかり言う人だから、今回の提案も突っ込みを入れられるのが嫌だなぁとか、あの人は何かと自分の話に横やりを入れてくる人だし・・・、今日の相手は、偉い人だから・・・大好きなあの人に嫌われるのだけは絶対に避けたい・・・などなど、聞き手のことを思うあまり、話題や議題に集中できずに、緊張してしまってるという人はきっと少なくないと思います。
そんなときには、自分が伝えることに集中するということが、緊張感を和らげる方法の一つになったりします。
【まとめ】
筆者は、緊張しないための方法としてよくあげられる、イメージトレーニングや事前の練習などは、緊張感をほぐす方法としては、ほとんど効果をあげることができませんでした。
これは、筆者の性格や人間性に原因があると考えられます。
筆者自身の経験では、姿勢を良くしたり、発声を良くしたり、ガムを噛んだり(笑)、ちょっといいスーツを着たり、手汗を止めたりといったことの方が、効果を実感できています。
こうした方法がどんな人にも、効果があるかどうかは正直、微妙だと思います。
ただ、メンタル的な方法だけでなく、身体的、物理的な方法で緊張感を和らげる方法があるんだということを知って頂ければと思い、記事にしました。
人前で話をするときにいつも緊張をして困っている・・・という人に、少しでもお役に立てていただければ幸いです!