人を褒めるというのは、簡単なようでとても難しく、なぜなら、褒められるのが苦手という人も少なくないからです。もちろん、その逆で褒められるのが好きという人もいます。
ただ、人のことを褒めない・褒めるのが下手という人より、褒めることが上手な人は会話の中に快適なリズムを生みだし、人間関係をシルクのように滑らかにし、非常に良好な関係を生み出す原動力にしています。
では、上手な褒め方というのは、どういったものでしょうか?
上手な褒め方というのは、褒める人の個性や人間性などにも関わってきますので、正解がないと思いますが、これまで多くの褒め上手な人たちを見てきて、上手いと感じたものを挙げていきたいと思います。
○自分からではなく、他人に言ってもらう。
もし、あなたがある人を褒めたい!と衝動的に思ったとしましょう。もちろん、それをストレートに伝えることは、素直で、素敵なことだと思いますが、もっといい方法は、それを周りの人に「言ってもらう」ことです。
人は直接ではなく、間接的に話題にされたとき、(このことは、社会心理学の実験でも証明されているのですが)、なぜか真に受けてしまいがちです。
「あの人のスピード感と実行力は他の人には真似の出来ないものがあるね…、○○さんが褒めてましたよ」
「素晴らしい仕事をするって…、△△さんが絶賛してましたよ」
「愛嬌があって、性格がかわいいって、□□さんが感心してましたよ」
上のような言葉は、直接当の本人に伝えるとなると、伝える側も褒められる側も何だか気恥ずかしったりすることもあったりするのですが、間接的になると、スーッと自然にコミュニケーションとして成立します。
また「第3者」に語ってもらうことは、拡散効果として様々な人にその「褒めた」という事実が伝わりますし、そして、人を褒められない人に比べても「褒めることができる」人というだけで、印象は良くなることはあっても、悪くなることはありません。
誰かを賞賛したい、誰かを褒めたいと思うときは、第3者の力を借りると、予想以上の結果を生むことがあります。
これは実際にあったことなのですが、あるとき、誤解をもとに非常に関係がぎくしゃくした上司と部下がいました。
部下は上司のことを尊敬していましたし、好感を持ち続けており、なんとか、上司との関係を修復したいと願って、何度か直接、対話して探ってみるものの、感触はよくありません。
そこで、上司と仲が良さそうな人を何人か、探し出し、チャンスがあるたびに、自分が上司のことを尊敬していること、できれば良好な関係を築いていきたいことを説明していきました。
すると、上司は間接的に部下の”思い”を耳にして、それからは以前よりも良好な関係となりました。
こういった例は、仕事だけでなく、プライベートでも見られますので、褒め方というのは、上手く機能すると非常に高い効果が期待できると思います。
○大勢の前で褒める、二人きりで褒める
筆者は個人的に、直接人を叱ったり、褒めたりするときは、なるべく2人だけのときにします。
それは褒められる、叱られる人は大勢の前でそれをされると、褒められたり、叱られたりするだけでも辛いのに、それを大勢の前だとさらに辛いとなってしまいかねず、2重に辛い…となりかねないからです。
もちろん、褒められるのが好きというタイプの場合は、大勢の人前でも褒めますし、また、MVPのような賞で表彰するときも、大勢の人前でします。
ただ、褒められるにせよ、叱られるにせよ、個人的にはその内容をしっかりと聞いて欲しいと思いますので、周囲への恥ずかしさなどはできるだけ排除してあげたいと考えます。そんな理由から、私は本人を直接、褒めるときは2人きりという選択をすることがわりと多いです。
○見た目よりも中身、中身よりも見た目を褒める?
褒めると言うと、何か硬く考えてしまう方もいるかもしれませんが、ちょっとしたことであれば、さらっと褒めてあげると本人も気分よくそれを聞いてくれたりします。
「髪切った?その髪型もいいね!」
「そのマニュキュア、センスいいですね!」
「最近、体調良さそうですね?とっても顔色がよく見えますよ」
などなど。
上のようなフランクな発言は、自分のキャラを間違えると、微妙な結果を生みかねませんが、チャレンジする価値はあると思います。
ほんの一言でもさらっと添えるだけで、相手が喜んでくれたら、褒める側としても嬉しいですよね。そんな一言を自然に言えると、かなりの褒め上手だと思います。
他にも上手な褒め方もあると思いますので、回りの褒め上手な人を見つけて参考にしてみると、きっとコミュニケーションの幅が広がると思います。