「お久しぶりです、先輩。実は最近、婚活で悩んでいまして・・、一度、相談に乗ってもらえませんか?」
これは筆者が以前、ある仕事がきっかけで知り合い、その後、不定期でご飯などを食べに行くという関係が続いていた同じ会社の他部署の後輩(女性)から、不意に持ち掛けられた一言でした。
「1年ほど前に話したときは、彼氏とも順調だし、仕事にやりがいがあって楽しいし、今、幸せすぎます!なんて言ってたじゃない?どうしたの?」
「実は・・」
今回は、アラサーを過ぎようとしているひとりの女性が抱える苦悩と婚活について語ってみたいと思います。
自分はずっとこの先も上手くいく・・とばかり思ってたけど・・
地方の有名女子大学を卒業し、並みいるライバルをおさえて就活を勝ち抜き、入社してきた彼女(Mさん)
愛嬌のある笑顔と仕事への情熱、物怖じしない性格などが功を奏し、入社早々からキャリアウーマンとして着実に実力を重ねていきます。
入社一年目こそ、慣れない社会人生活で戸惑ったりすることもあったそうですが、2年目以降は、持ち前の適応能力の高さと実務能力を生かして、どんどん成果を上げていき順調に周囲からの評価を獲得していきます。
また、恋愛も社会人1年目のときに友人の紹介で知り合った有名企業の創業者の御曹司と恋仲になり、その彼と順調に愛を育んでいました。
彼女のことを知る社内の人物の中には、次のように彼女のことを評する人がいましたが、全くもって筆者も同じような印象でした。
「Mさんは仕事も、恋愛も順調だし、あの人柄と笑顔でしょ。完全に何か”持ってる”タイプだよね。 いつもハッピーオーラで包まれてるって感じ?(笑)」
そんな彼女だからこそ、冒頭で婚活の相談を持ち掛けられた筆者が、都内の深夜の飲食店で聞いたMさんの言葉には驚きを隠せませんでした。
Mさん「実は先輩も知ってる私の”元”彼ですが、婚約寸前になって、別れることになったんです・・」
筆者「え?あんなに順調そうだったのに?何があったの?」
Mさん「それが、向こうのお家は代々、奥さんはそれまで仕事をしていても結婚をすると辞めて、専業主婦になるというのが絶対的な条件らしく・・私、それは無理ですって伝えたら・・」
筆者「それで別れようって?パートやリモートワークもダメなの?」
Mさん「旦那さんをサポートして、家を守るのが妻の役目って・・まさか、本当に今の時代にそんなことで別れることになるなんて夢にも思ってもなくて・・」
筆者「もう付き合って結構経つと思うけど、これまで一回もそんな話は出なかったの?」
Mさん「”元”彼は私が仕事が好きなのを知っていたから、言い出しにくかったんですって・・」
Mさんによれば、元彼氏の実家は地元で”名家”と呼ばれる一家で、家族からは官民問わず、要職に就いている男性が多く、その地方ではかなり知られた存在とのこと。
元彼は結婚を前提に考えてはいたものの、Mさんにベタ惚れだったが故に、最も大事な話題に触れられず、ずるずると時間が経過してしまい、結果、彼女はアラサーに突入するという状況になってしまったのです。
Mさん「バカみたいな話かもしれないですけど、自分はずっとこの先も上手くいく・・って根拠のない自信だけがあったので、正直、ショックも大きくて・・」
ずっと”仕事”に夢中になってきて・・
もう少し、話をじっくりと聞きたいと思った筆者は、Mさんが元カレと別れた後の”仕事観と婚活”について聞いてみることにしました。
その話を簡単にまとめると、以下のような感じに。
Mさんの仕事と婚活に関する気持ちの変化 |
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仕事に夢中になってきて給料も役職もほぼ希望が叶ったが、達成感は一瞬だった・・。 |
女のは仕事だけでは幸せになれないのかも・・ |
元カレと別れてもすぐに彼氏ができると思っていたが、苦戦中・・ |
高収入(バレる)+若くないというだけで男性からは敬遠されることが圧倒的に多くなった |
付き合ってもすぐに別れることが続く・・ |
仕事へのモチベーションまで低下中 |
筆者「高収入っていうのはやっぱり相手にバレてしまうものなの・・?」
Mさん「自分からは決して言いませんが・・何度かデートしてると・・何となくは分かってしまうみたいで」
筆者「普段着てる服や持ち物とかで、大体わかるしね・・」
Mさん「30歳過ぎると婚活では不利って聞いてましたけど、こんなに景色が変わるとは思いませんでした・・」
筆者「う~ん・・もっと出会いの場を広げてみたりするのは、ダメなの?」
Mさん「そうですよね・・友達の紹介とかばかりなので、行動範囲が狭いのは事実かもしれません・・」
筆者「個人的には30代前半なら、まだ全然だと思うけど・・」
キャリアアップ=女性の幸せにはなり得ない・・?!
元カレと別れた後、自分の将来の姿を考えつつも、重圧がかかる仕事をめげずに頑張ってきたMさんでしたが、徐々に女性の幸せへの考え方も変化していくようになっていったとのこと。
別れた直後こそ、「仕事は裏切らない」という気持ちで、以前より集中して仕事に取り組むようになりましたが、時間の経過とともに、満たされていない自分に気づいていったと言います。
そして、気が付けば、「結婚」への意識が急に自分の中で高まるのを感じるように。
Mさん「前に言ってたことと正反対なんですが、今はやっぱり結婚がしたいです(笑)」
筆者「確かに、前は結婚願望はないって言い切ってたもんね(笑)」
Mさん「元カレと何となくこのまま結婚するんだと思ってたので、結婚って頑張って手に入れるものではないって意識があったんですよね・・」
筆者「当たり前だと思ってたら、そうなっても不思議じゃないよ」
Mさん「チャンスを失ってはじめて考えさせられました・・。女の幸せって何なんだろうって・・」
筆者「僕は男だから、女性としての気持ちは分からないんだけど、Mさんみたいに仕事で上手くいってても、そう感じるものなの?」
Mさん「仕事は裏切らないって思ってましたけど(笑)、個人的には、仕事をどれだけ頑張っても、それだけでは、女性は幸せにはなれない気がしてるんですよね。」
友人の結婚報告や出産報告を聞くたび焦燥感が募り・・
結婚を意識するようになってきたMさん、実は彼女の心にはもう一つ焦燥感を募らせる要素があったのです。
それが、Mさんの友人の結婚や出産の話題です。
大学の同期や高校のときの友達を中心に30歳前後で、結婚や出産ラッシュを迎えたのです。
会社の同僚と結婚する人、マッチングアプリで知り合って結婚する人、趣味がきっかけで出会って結婚した人、合コンで知り合って結婚する人など、その出会いのきっかけは様々でしたが、アラサーというタイミングだけは、なぜか揃っていました。
元カレと結婚することが”規定路線”だと思われていたMさんが、その彼と別れて独身で、結婚式や友達の出産祝いに行くことは、決して心中、穏やかではありませんでした。
筆者「他人と比較してどうにかなるわけじゃないけど・・Mさんの場合、周りからもう結婚してるぐらいに思われていたもんね・・」
Mさん「ほんと、バツイチみたいに見られたりするんですよね(笑)」
筆者「結婚もしてないのに(笑)」
Mさん「ちょっと気取っていたというか、ずっと順調っていう雰囲気出してたと思うので、しょうがない部分はあると思うんですけど・・」
筆者「それで、アラサーで周囲が結婚や出産ラッシュで焦りが?」
Mさん「そうですね・・高校時代からの親友が幸せそうな笑顔で赤ちゃん抱いてるの見ると、やっぱり女としての幸せを考えさせられますよね・・。」
筆者「兄弟よりも、友達の結婚や出産の方がリアリティあるよね」
Mさん「そうですね・・それは痛感しますね」
筆者「気休めで言うわけじゃないけど、Mさんなら、絶対、大丈夫な気がするんだよね・・ハッピーオーラ”持ってる”人だし(笑)」
Mさん「ありがとうございます(笑)・・それを信じて婚活、頑張ります!」
婚活の相談を受けてから数ヶ月・・彼女はどうなったか?
婚活で悩んでいたMさんから、再び連絡があったのは、それから1年以上経った頃でした。
Mさん「先輩、結婚することになりました!」
筆者「おぉー本当に?!良かったねーじゃあ、お祝いも兼ねて、近いうちにご飯でも行こう!」
筆者に相談をした当時のMさんは、元カレのことを引きずっていたこともあり、婚活に対してどこか躊躇していたそうですが、相談後、結婚を前にして様々なアクションをすることを決意したそうです。
そして、婚活パーティやマッチングアプリ、コンパや友達の紹介など、結婚相手が探せそうなところであれば、ダメ元でも色々とチャレンジしてみて、活動を開始。
そこからはもう前に進むことしか考えず、何人かの男性と結婚を前提にお付き合いをし、見事、意中の男性と結婚することになったMさん。
Mさん「年下の優しい旦那をゲットしました!(笑)」
筆者「本当に良かったね!(笑)」
まとめ
「出会いが全然ない・・。アラサー超え女性の苦悩の婚活ストーリー」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
結婚が全ての女性を幸せを約束するわけではありませんが、結婚をするということが自分にとって、どんな意味があるのかを考えるだけでも価値のあることなのではないでしょうか。
女性、男性問わず、幸せになる権利は誰にでもあるのですから。