仕事でも家庭でも適切な気配りができる人は、まわりの人に信頼をよせられます。
気配りはまさに読んで字の如く、気を配ることで、気配りを受けた人は、「手を貸してくれたこと」や「自分のことにまで関心を持ってくれていること」などに感謝の気持ちを感じることがほとんどです。
人は小さなときから、好意的な「何か」を人から戴くときは、お返しをしなくてはならない…と本能的に反応しますので、そういった気配りに対しては、まず感謝の気持ちを感じ、できれば何かお返しを…と考えます。
何かしてもらうと何かをしてあげるというのは、キブアンドテイクの関係で、その関係をないがしろにすることは、恩知らずで相手からの信頼を失いかねないということを人は本能的に知っているということです。
心理学的には、これは「返報性のルール」と呼ばれ、人間社会に深く根差したルールの一つになっています。
興味深いのは、こうした心理を利用し、いかにも相手から「何かを引き出したい」というのがミエミエの場合でも人は返報性のルールに従ってしまうことです。
(だからと言って、そんなやり方が中長期的に適切かどうかは分かりませんが…)
また気配りという贈り物には強力なルールが背景にあるが故に、ときとして素晴らしい効果があります。
社長や教師のような立場の人間が、まだ駆け出しの若い頃に他人に気配りをしたことがきっかけでその人の運命がガラリと変わったという美談は少なくありません。
また、見ず知らずの人同士がちょっとした気配りがきっかけで恋に落ちて、やがて結婚する仲にまでなった…ということもあります。
ただ気をつけなくてはいけないのは、過剰な気配りは、余計なお世話になることもあるということです…。
本人は良かれと思っていても、過剰にお祝いごとを祝ったり、事あるごとにお世話になると、そこまでしてもらわなくても…ということになりかねません。
気配りはあくまで、気を配る方が、相手への好意から行う方がスムーズで、自分が相手に影響力を発揮したいためとか、自己満足でするというのは控える方が美しい気配りだと思います。