会話の切り出しにネガティブな内容を使用するのは控えた方がいい、むしろネガティブな内容を切り出すことで、その後のコミュニケーションの障害になる可能性もあるというのは、別のページで説明しましたが、それと同じくらい重要なのが、会話の構成、それも話の前半に、どんな内容の話を持ってくるかということです。
人は会話の内容をよほど真剣に、そして集中して聞いている場合を除いて、話の内容の大半は記憶に一時的にしか留まりません。
また、よほど話題が面白かったり、関心のある場合を除けば、そもそも話を”聞いて”もらうのも大変なものです。
では、人は会話のどこを集中して聞いているかと言いますと、ズバリ
「話のはじめ」
です。
テレビやインターネット、ラジオ、小説、映画でも何でも、ストーリーで最も重要な箇所はどこかと言いますと、「はじめ」です。
なぜなら、最初に「つまらないかも・・・」、「興味ないかも・・・」となると、その後は見てももらえないからです。
話の前半が面白くなければ、話の結末がどんなに面白くても、その結末まで辿り着いてくれる人は、かなり少なくなってしまいます。
その点、面白い芸人さんはいわゆる「つかみ」の重要性を心得ていますので、会話の最初にとても面白い話を持ってきます。
最初のインパクトが大きければ大きいほど、人は印象に残りやすく、そして、話に引き込まれていきます。
「何だか面白そう・・・」「続きが見てみたい・・・」となるとしめたものです。
あとは、流れに乗って、中盤から終盤に掛けて、話を進めていけば、こちらが伝えたいストーリーの大半を理解してもらえると思います。
テレビ番組の元構成作家で、著名な小説家でもある百田尚樹さんは、ストーリーテラーとしては、本当に優秀な方で、作品のほとんどが、「はじめ」からぐいぐいと引き込まれていきます。
そして気がつけば、そのストーリーの魅力にどっぷりとはまってしまいます。
(もちろん、個人差はあると思います^^;)
彼の類稀な能力や経験などは、素人には容易にはまねができないですが、彼の話の「構成力」はコミュニケーションなどにおきましても、非常に参考になると思います。
では、会話の冒頭で人の関心をひきつけるには、具体的にどうしたらいいのでしょうか?
それは、まずは自分が人に伝えたいポジティブな話題や共感を得られそうな話題をまず会話の先に持ってくるということです。
小説などでは確かに、衝撃的な話を先にもってきたりすることがありますが、普段のコミュニケーションでは、衝撃的な話ばかりというのもなかなか難しいものです。
そこで、まずは、グッドニュースを先に伝えるようにします。また、共感を得られそうなニュースを先に話題に出します。
なぜなら、聞き手との距離を近づけるためです。
聞き手との距離を近づけ、会話の「つかみ」を感じ取れれば、後は仮にネガティブな話題であっても、こちらの話を丁寧にあるいは、慎重に伝えていきます。
これが、先にネガティブな話題を振って、相手との距離を作ってしまうと、後でグッドニュースを持ち出しても、どうにも距離が縮まらないものです・・・。
筆者も経験上、こうした失敗は何度も繰り返しており、なぜ、あのときグッドニュースを先に伝えなかったのか何度も悔やんだことがありました。
でも、グッドニュースや共感できることがない場合はどうすればいいでしょうか?
筆者は、そういうときは他人の力を借りたことが多かったです。
筆者がよく利用したのは、周囲の人間に、あの人の「イメージ」やあの会社の「イメージ」について事前に尋ねておき、その中でいいイメージなどを伝えるというものでした。
例えば、仕事であれば
「先日はありがとうございました。○○さんの仕事には、弊社の女性スタッフも絶賛していました!」
「先日はありがとうございました。弊社のスタッフが御社の大ファンなんですよ!」
例えば、プライベートであれば
「○○さんのこと、この前、一緒に来てた○○君、めっちゃかわいいくて面白いね!って言ってたよ」
とかこんな感じです。
無理やり作るのは決して、良くはありませんが、会社であればホームページを見てもらったり、会社案内のパンフレットを見てもらったり、個人であれば、面白い”ネタ”を話したりと、印象を周囲の人に語ってもらう機会を作るのも大事だと思います。
会話の構成力、それも順番を少し変化させるだけで、効果をきっと実感できるはずです。