人が集まって、何かを判断するところ、少数意見と多数意見が分かれるのが世の常です。家族会議、ミーティング、討論会、サークルなど人が集まれば集まるほど、比率は変わったとしても意見は多くの場合、分かれてしまうものです。
グループや派閥といったレベルでそれが論じられるうちは、それほど大きな問題ではありませんが、少数派と多数派の意見を個人の発言というレベルまで落としてくると、その個人の意見が、少数派と多数派のどちらの意見に属するかを客観的に理解しておくことがとても重要になります。
早速、例を上げてみましょう。
スマートフォンの普及が真っ只中、あるグループを対象にスマートフォンの普及率に関するアンケートを実施しました。
質問内容:グループ内でのスマートフォンの普及率はどれくらいだと思いますか?
○30%未満
○40%
○50%
○60%
○70%以上
本当の答えは約40%だったのですが、この回答で面白いのが、スマートフォンに切り替えた人たちが答えた普及率は何と「約60%」、スマートフォンに切り替えてない人たちは「約40~50%」と答えたことです。
人は、自分の意見、自分の判断を客観的に見るというのは、非常に難しく、特に多数派だという認識でいる人は、ついつい自分の判断を過剰に信用してしまいがちです。そして、場合によっては、独善的に意見を他人に押しつけがちになってしまいます。
ある統計的なデータを前にして、客観的に違和感のある意見を独善的に主張するのは、人には好かれることは少ないでしょう。
話を聞いている側からすると、明らかにおかしいと感じられる意見を押しつけられると、「独善的」「客観性に欠ける」「冷静さに欠ける」などといった印象を感じます。
ただ、話し手の方が、少数派であるという認識があり、見解の一つとして「少数意見ではあるものの…」などという「事前のことわり」を入れて説明をすれば、逆に視野の広さなどを感じさせることもありますので、ここで重要なポイントは、多数派か、それとも少数派なのかということではないのが分かります。
それなりに議論を重ねてきた人であれば、分かることですが、多数派が必ずしも、結果的に成功を約束してくれるものでもありません。むしろ、少数派の方が大きな成功する例も沢山あります。
つまり、ここで重要なことは、自分の見解を話す際に、少数派か、多数派にあるかということを客観的に見極めることが必要ということです。
また、そうした見極めを上手くできれば、何かの重要な事案などがどういった方向で進みそうかということが、割と判断がつきやすくなります。もちろん、社長や議長などの鶴の一声でひっくり返ることなどは、どこの組織でも見られることですが、それなりの組織の場合、膨大な案件のそのすべての決定を細かく社長や組織の長が行っていくことは現実的に難しく、運営を行う幹部などの意見のシェアがそれを決めていきます。
つまり、組織内の意見の多数派、少数派を客観的に見極めることができれば、組織としての方向性も掴みやすく、コミュニケーション上も立ち回りを早くして、さらにとても有利に会話を進めることができます。
人は自分の見解や、自分の主張についつい過信しがちです。またそれが多数の意見ですと、さらに過信を深めてしまいかねません。どんな事案も成否は事前に予想がつかないことが多いものですから、冷静に客観的に判断することが重要になります。