まず、最初に筆者は、サラリーマンやサラリーウーマンにとっての仕事は「どこで働くか」より「誰と働くか」の方がよっぽど重要だと考えていますので、その中でも複雑に利害が絡んでいる上司との関係が原因で転職や退職を考えることは、決して悪いことではないと考えています。
早速、事例を挙げてみてみましょう。
【ミスは部下、手柄は自分】
ビジネス社会において、大小問わず、ミスはつきもの。しかし、そんなミスをしてしまったときこそ、その人の本質が垣間見えるときでもあります。
ビジネスにおいて、収益化につながり、別会社としてスピンオフできるような、成功するプロジェクトは確率的に数%程度ですが、次の収益の柱を模索し、プロジェクトを次々と行っていくことは非常に重要な事案です。
ある企業にとっては、それは設備投資かもしれませんし、システムの改善、あるいはヘッドハンティングによる人材確保かもしれません。
例えば、ミクシィのように一時期、SNSとして日本で大成功を収めたものの、次なる成長への投資を積極的には行わず、(驚くほど利益を上げていた時期に、なんとその収益で、利回りのほとんど期待できない日本国債などに投資を行っていた…。)やがて、フェイスブックが上陸すると、そのときのツケが回ってきたかのように凋落した企業もあります。
上記の例のように、、次への成長を夢見る新規プロジェクトを立ち上げることは、非常に重要であり、またタフなビジネスパーソンは会社にとって、良くも悪くも貴重な存在であり、否が応でも存在感があります。
しかし、その中でも一番やっかいな人=上司は、自分の保身のことだけを考えミスをひたすら恐れ、”何もしない”上司です。
そんな上司の関心は、自分より上の立場の人にどう思われるかだけ。
そんな上司ですから、ミスが起こった際には、部下のせいにし、(状況によってはミスを隠蔽するような支持をしておきながら)、それが結果的に上手くいった際には、自分の手柄であることを声を大にして言い出す始末です。
自分からは決して何もしようとしないのに、ミスは部下、手柄は自分なんていう上司があなたのたった一度のキャリアを悩ませている原因だとしたら、そんな上司の本質すら見抜けず、重要なポストに据えている会社を見限って、さっさと転職や退職を考えよう!
【思い込みや偏見に満ちている】
これについては、好かれる人・嫌われる人でも言及していますが、根拠もない思い込みや偏見に満ちている上司ほど困るものはありません。
人間、一人が知識として得られることや経験できることなど、たかが知れています。それも現代のように、社会的分業が進み、また専門分野の多様化がとても速いスピードであらゆる分野で進んでいると、広い範囲で知識や経験をカバーすることは非常に困難です。
にも関わらず、自分の価値感や自社の価値観が絶対と思い込んでいる上司が存在します。
人間が組織として機能する場合、まるで正解や不正解があるかのように錯覚してしまいますが、それは幻想にすぎません。例えば、5年や10年でも、それまで正しいとされていたような価値観がそうでなくなる場合など少なくありません。
また、表面的なことだけを捉え、その背後にある原因や理由について思いが至らないという上司もいます。
そうした人は、見た”まんま”でしか判断ができない上に、そこで何か一方的に自分が思い込むと、そこで思考停止に陥り、その自分が思い込んだことに今度は、ひたすら執着します。仮に、別のアイデアを部下なりが出しても、修正がききません。
サンクコスト(埋没費用)という概念がありますが、まさに、こうした上司を持つと、時間と作業が大幅に無駄な作業に費やされます。
根拠のない思い込みや偏見に満ちた上司にひたすら振り回されるぐらいなら、さっさと転職や退職を考えるのも大いに価値があります。
【相性という人間性と哲学】
周りの評判もよく、部下からも慕われている評価の高い上司が必ずしもあなたとの相性がいいとは限りません。
それは、上司が嫌であるとか、あなたが人間関係を作れない、社風に合わないといったことではなく、「人間性と哲学」が原因の場合もあります。
簡単な例をあげましょう。
どんなに優れたプロスポーツ選手でも、コーチとの相性が悪いと、出場機会に恵まれず、思ったような働きができません。そういった優れた選手が相性のいいコーチのもとに移籍した結果、目覚しい活躍をすることがあります。
どんなに優れた上司も人間です。人である以上、相性が存在し、あらゆる人と上手くやっていけるわけではありません。
特に、経営者や作家、スポーツ選手で成功を収めている人は、常人と相容れない「何か」を持っていることが少なくなく、あまり周囲の人間と打ち解けることが出来ない人も少なくありません。特に若いときには孤独だったという人も少なくありません。
それは、誰が悪いとか、組織が悪いとかではなく、人間性と哲学の問題であり、組織の一員として働くということが向いていないのかもしれません。
そんなときは、転職ではなく、退職そして、起業を目指すというのも人生の選択肢の一つです。