好意と嫌悪感は紙一重?!

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営業、人事、マーケティングと国内外の企業を渡り歩き、何百人、何千人の心理をつぶさに見てきた”人ウォッチャー”の筆者が今回は「好意と嫌悪感」を徹底解説!

恋愛に限ったことではありませんが、仲が良かった二人が何かのきっかけで突然仲が悪くなったり・・・、その逆で仲が良くなかった二人がいつの間にか昔からの親友のように仲良くなったり・・・といったケースは少なくありません。

なぜそんなことが起こるのでしょうか?

実は、「好意」と「嫌悪感」は、一見、真逆のような対立した感情のように見えますが、まるでコインの表と裏のような連動性のある感情で、その心の動きに男性も女性もそれほど差はありません。

では、具体例を交えながら、早速見ていきましょう。

〇「好意」と「嫌悪感」の本質

あの芸能人のことが好き、会社の同僚が好きなど、人が自分以外の他人を好きになるとき、その感情の裏には、「自分を大切に扱ってくれる」「自分に対して優しい」「自分と価値観が合う」「見た目が好み」「自分にはない特徴が魅力的」など、”ポジティブ”な原因が思い浮かぶのではないかと思います。

では、あの上司が嫌い、あの友達が嫌いなど、嫌悪感を感じるときの感情の裏には、どういった原因があるでしょうか。

「陰で人の悪口ばかり言っている」
「異性関係に問題が多い」
「お金にルーズ」

などなど、きっと、”ネガティブ”な要因がズラッと並ぶと思います。

そして、ここからが肝心なのですが、「嫌い=嫌悪感」というのは、実は、まるで「鏡」のように自分の中で「嫌=嫌悪感(コンプレックスなど)」を感じている部分のことなのです。

ちょっと、分かりにくいところかもしれませんので、もう少し噛み砕いて説明します。

例えば、自分以外の誰かが、陰で悪口を言っていたとします。そのとき、あなたは「嫌だなぁ・・・あの人・・・あんな風に陰口を叩くなんて・・・(なんでそんなことを言うのだろう・・・)」と感じたとします。

実は、そのとき、陰で悪口を言っていた人に対して、嫌悪感を感じるとともに、「自分自身」のことも嫌なのです。それは、過去にあなたが、陰で悪口を言ったことで、自己嫌悪に陥ったのかもしれませんし、また、たまに、陰で人の悪口を言ってしまう自分のことかもしれません・・。

つまり、自分以外の誰かに嫌悪感を抱くとき、実は「自分自身」に対しても嫌悪感を抱いているのです。

「そんなことない!私は、陰で悪口を言ったことなんてない!」という人もいるかもしれません。しかし、本当でしょうか?心の底では、言いたいのに我慢しているのではないでしょうか?あるいは、陰で悪口を言っている人に対して、同意していたりしてないでしょうか?

このことを示唆するようなことわざもあります。

「愛情の裏返しは、無関心である」

このことわざは多くのことを示唆していますが、嫌悪感があるというのは、感情が”残っている”ということです。

人は本当にどうでもよくなると、見向きもしなくなり、関心が消失してしまいます。

上の例でいえば、あなたが陰で悪口を言っている人を見て、あなたが”本当にどうでもいい”と思っていたりすると、そのときは何も感じないはずです。悪口を言っている人も気になりませんし、自分自身にもその「嫌悪感」を感じることもありません。

〇好意が嫌悪感に、嫌悪感が好意に変わるとき

冒頭で説明したように、好意が嫌悪感に、嫌悪感が好意に変わるというのは、よくある話ですが、その連動性を理解することで、人間関係も少し冷静に見つめることができたりします。

例えば、嫌悪感が好意に変わるときの最も大きな”引き金”は、「共感」です。

自分以外の誰かに対する嫌悪感が自分自身にも同時に向けられていることは、上で説明しましたが、それを解消するには、まず、自分の内側にある感情を認め、そして、自分以外の誰かと自分が、何らかの価値観を共有していることを認めます。
そして、それを乗り越える方法を考えます。

例えば、陰で悪口を言っている人に対して、嫌悪感を感じた場合、自分自身にもその感情があることを認め、そして、その感情を二人で共有し、何故、自分が陰で悪口を言っていることに対して嫌悪感を感じているかを説明し、その感情を解消するために、どうすればいいのかを考えます。

乗り越える方法は様々です。

・悪口を言うのを止める。(少なくとも二人の間では)
・悪口を言われている人に直接、言いたいことを言う。
・悪口を言われている人にそれとなくこちらの考えを伝えてくれる人を探す

などなど。

そうして嫌悪感が解消されると、二人の間には、「ある価値観を共有」したという事実と、それを乗り越えたという達成感が残ります。実は価値観の共有と達成感は、スポーツや演劇などのチームプレーをするメンバー間の結束を強める最も重要な要素の二つです。

つまり、嫌悪感を共有した二人が急速に仲を深める背景には、こうした要因があったというわけです。

〇人間関係で最も注意すべきは無関心

好意と嫌悪感という一見、対立した感情が表裏一体であることをここまで見てきましたが、いかがでしたでしょうか?

文中でも触れていますが、「好意」や「嫌悪感」があるうちは、その人間関係はまだ”脈あり”ですが、それが「無関心」に切り替わってしまうと、修復はかなり厳しい状況にあると言わざるを得ません・・・。

「無関心」に切り替わってしまう前に、行動や態度、対話で関係改善を図ることを考えることが賢明だと言えるでしょう。

今回の記事が、読者の方の人間関係の構築に少しでもお役に立てれば幸いです。

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