悩み相談は慎重に~人に好かれる話し方~

人間誰しも大なり小なり、様々な悩みを抱えて生きていますが、そんな悩みを家族や他人に打ち明けて、聞いてもらうことで、気が楽になることも少なくありません。

しかしながら、この悩み相談というのは、実は非常に微妙な話題でして、上手くいけば、人間関係を良くする場合もありますが、下手をすると、人間関係に溝ができかねないということになります。

悩み相談というのは、自分のプライベートのこと、仕事のこと、人間関係のことなど、実にそのネタ元は多岐に渡りますが、その根幹にあるのが「愚痴に近いネガティブ」な要素になりかねず、聞き手によっては、その話題を繰り返し聞かされると、うんざりということも少なくありません。

また一方で、話し手が心の内を打ち明けるという悩み相談は、聞き手にしてみれば、心を開いて相談してくれる→信頼を寄せてもらえているという風に感じられ、人間関係を強固にする可能性もあります。

もちろん、逆に身近な人では話せないという話題もあるかもしれませんが、そういう場合であっても悩み相談を聞いてもらえる人には、「専門知識がありそう」だったり、「聞いてもらえそう」などの何らかの信頼を寄せる材料がないと、話し手が聞き手に心を打ち明けるということもないでしょう。

そんな、表裏一体の「悩み相談」ですが、早速事例を挙げてみましょう。

大企業→法律事務所→営業補佐という異色のキャリアを経て転職してきた女性、その美貌と明るい性格で、転職間もないにもかかわらず、たちまち周囲からの人気を集め、すいすいと昇進を重ねていきました。

本人もその昇進に満足しており、将来の夢はと聞かれ、「役員です!」と公言するほどでした。

しかしながら、なぜか、あるところまで昇進したところで、彼女の夢とは裏腹に、彼女の評価は徐々に停滞、そして、それはやがて失望へと変化していきました。

原因として上がったのがまず、もともと事務処理が苦手だった彼女ですが、昇進を重ねることでそれに比例して仕事量が増えて、周囲からはサポートしきれないとの苦情が相次いだこと、そしてもう一つがなんと、彼女の言動だったのです。

実はこれまで彼女がすいすいと昇進を重ねてこれたのは、彼女の仕事ぶりというよりも、その美貌や明るさを生かして、上司に取り入ったからで、それが「悩み相談」という名のその実は、ライバルと目される人の悪口を吹聴することだったのです。

彼女は、自分の昇進のために、上司の人に悩みがあるんです…ともちかけ、そして自分のライバルと感じている人のことを散々ののしり、あることないことを吹き込んでいたそうです。

打ち明けられた上司たちは、最初はその美貌と心の内を打ち明けてくれる”かわいい”部下ということで目をかけてもらっていたのですが、今度はその言動がどこからか漏れ伝わり、彼女の虚言癖や悩み相談→愚痴→他人の悪口を吹聴して回る人というイメージが次第に周囲に定着してしまい、次第に評価が下がっていったというのです。

その後、彼女は自らのポジションを失い、やがてその会社を退職することになるのですが、後から聞いた話では、実は彼女がこれまで勤めてきた会社での評判はいずれも同じような状況で、最初は印象が良いものの、最後には信頼を失い、結果的には職場を離れていったということでした。

いかがでしょうか。当の本人にしてみれば、どこまで計算していたのか分かりませんが、悩み相談ということで、その延長線上で話してしまったことなのか、自らの出世のためという功名心から、そんな言動を繰り返したのかは分かりませんが、悩み相談という話題の難しさを感じさせます。

悩み相談そのものが決して悪いわけではありませんが、悩み相談と称して、様々な利害を絡めたりすると、コミュニケーションに大きくヒビが入ったりすることがあるということです。

では、悩み相談をするには、どうしたらいいのでしょうか?

あくまで個人的な経験に過ぎませんが、悩みを解決したい、単純に解決できるかどうかということが本質で、利害や功名心を絡ませ、相談相手の影響力などを利用するなどといったことを考えますと、それは悩み相談ではありません。

ですので、悩み解決のために、純粋に相談する。

これ以上でも以下でもないということではないでしょうか。

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