否定的な性格と人間関係~人に好かれる話し方~

世の中には実に様々な人がそれぞれの価値観を持って生きていますが、性格なのか、環境がそうさせているのか、はたまた敢えてそうしているのか、やたらと否定的な発言を繰り返す人がいます。

こちらが腰を低くして、言葉を慎重に選んで柔らかく話しかけても、返ってくる言葉は、

「いや、それは違います」
「ダメですね」
「嫌です」
「できません」
「無理です」
「やりたくないです」
「他の人に頼んでみてください」
「聞きたくないです」

などなど・・・。

挙げだすとキリがないですが、とにかく否定的なキーワードばかりを話す人、周りにもいないでしょうか?

できるだけ、そういった人とは絡まないのが一番なんですが、そうも言ってられないのが世知辛い現代社会の難しいところでもあります。

では、そういった人と会話をする必要になったときは、どう対処していくのがいいでしょうか?

私がこれまでそういったケースで、「なるほど、これはいい」と感心した例がありましたので、
実例を交えて紹介したいと思います。

ある営業マンが得意先の担当の上司に対して、いつも提案が拒否され、発注につながらないことを日々悩んでいました。

担当の人とは上手く人間関係が作れて、しかもOKをもらっているのに、なぜ、あの上司にはなかなかOKをもらえないんだろうか…。

担当の人に聞いたところでは、「社内の人間も同じで、いつも何か文句をつけてきて否定ばっかりです…。その割には、自分が提案してくることは失敗続きなんですよね。かなり自意識が強い人なんですよね…。」とのこと。

そうした関係が続いたところ、彼はあるアイデアを思いつきます。

それは、予め否定されることを前提にして、それを先回りして代案を用意しておく。

ということです。

まず、自分が持っていく提案を持っていく前に、恐らく突っ込みが入りそうなところを周囲の人間に聞いてチェックし、そして提案の際に「一緒に」代案を用意していくことにしました。

そして準備を整え、いよいよ実際の提案の時がきました。営業マンは説明を終え、担当の方とその上司の方の反応を待っていると、予想通り・・・

担当の上司の方からいつものように否定的なつっこみが

「ここが気に入らないなぁ。ここはもう少し○○にできないの?」

と発言。

営業マンはいつもであれば、「そうですね…再度、確認させて頂きます…(実際は難しい)」と答えるのがやっとだったのですが、今回は違いました。

「そうですよね…。ではこちらのプランでいかがでしょうか。(内容は少し変わるが、ほぼ指摘された通りのプラン)」

と事前に用意していた別の代案を早速、披露。

すると、担当の上司はしばらく沈黙の後、(いつもと何か違うことを感じている様子)

担当の上司「なるほど。だったら、このプランでいいんじゃないの?(担当者に同意を求める)」

担当者「そうですね!」

担当の上司「いや、ちょっと待って。でもこのプランだと△△が変わってしまうんだよね・・。△△は外せないんだよな。」

営業マン「そうですか・・」

とここで終わらないのが、今日の営業マン、可能性は低いがそういう指摘も入るかと思い、もう一つの代案を手に取り

営業マン「ということでしたら、このプランはいかがでしょうか。○○と△△のことも考慮し、若干、当初の予算よりはオーバーしてしまいますが、このプランであれば、ほぼご希望通りで実現できると思います。」

担当の上司「そ、そ、そうだな(明らかに予想外の展開の様子)」

担当者「これでいいんじゃないでしょうか。」

営業マン「ありがとうございます」

と、この後は、話がトントン拍子に進み、大きな受注につながりました。

ここでのポイントは、担当の上司は、とにかく否定したい人で、その否定で入ることで、自分の存在意義や権威を出していると感じている様子。

しかも、突拍子もないことをわざと言ったりして、周囲を驚かせたりすることができると思っているふしもある。自意識が強いため、周囲の注目を集めたりすることに異常に執着する。

そこで、営業マンはそれを先回りして、提案を複数出すことで、対応。

担当の上司は、抜け目のない営業マンに驚くとともに、これを境に、その営業マンには、逆にいろいろと商談を持ちかけてくるようになりました。もちろん、否定的な言動は変わりありません(笑)

ここで重要なポイントはどこでしょうか?

それは、否定的な人と会話をする際は、否定されることを事前に想定し、その答えを用意しておくというところです。また、答えが思いつかない場合は、率直に、当人に尋ねてみるという手もあります。

否定的な指摘があった後、

「なるほど。鋭い指摘ですね、仰るとおりです。何かこれに変わるアイデアがあるといいのですが、何か妙案などはございませんか?」

といった風です。

否定的な人の中にも、ただ否定したいだけという人と、そうではなく、しっかりと答えを持っている人がいます。

ただ、否定したいだけの人も自分が何度も否定した後に、「代案ありませんか?」と尋ねられるとさすがに、尋ねられてばかりなのに、答えられないという問題に直面してしまいます。そして、やがてそのうち答えざるを得ません。

また答えがある人は、案外、こちらが尋ねると、「こうすればいいんじゃない?」と答えを返してくれます。

否定的な性格の人との人間関係も戦術ひとつで上手く関係を築けたりしますので、できるだけ前向きにトライしてみてはいかがでしょうか。

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