人に好かれる話し方~礼儀ある仲にも親しみを~

○礼儀ある仲にも親しみを・・・

親しき仲にも礼儀ありという格言がありますが、筆者はその逆の礼儀ある仲にも親しみをというのも貴重なコミュニケーションのテクニックだと思います。

むしろ、ほとんどの人は関係性としては、親しいとまで呼べるほどではない間柄の人の方がつきあう数としては多いと思いますので、「礼儀ある仲にも親しみを」の方が使う場面が多いのではと思います。

乱暴を承知で言いますと、礼儀正しいというのは、ある意味では「楽」なところがあり、というのは、礼儀正しさには、形式的なところがあり、パターン化されているところがあるからです。

例えば、教育がしっかりと施されたホテルの従業員が、滞在客に誰彼となく、かしこまった挨拶をすることに対して、人は心地よさを感じますが、そこに心を通わすような親しみまで生まれるかといいますと、数少ない例外はあるにせよ、そう数は多くないと思います。

逆に、そこまでの形式ばった礼儀正しさはないものの、多少の冗談や気の利いた会話を楽しめるようなレストランや美容院などの従業員に親しみを憶えたことは誰にでも経験があるのではないでしょうか。

もちろん、ホテルと言っても、ビジネスホテルやバケーション型のホテルでは、違いはあると思いますが、人と人の距離が近くなる際に「礼儀」と「親しみ」という組み合わせは、十分考えるのに値する価値観だと思います。

では、礼儀正しさの中に「親しみ」を感じるというのはどういうことでしょうか?

答えはそんなに難しくありません。

代表的な答えとしては、「共感」や「プライベート」があります。

親友と呼べる人には、誰もが自分の素の部分である「プライベート」を打ち明け、何時間でも語ることができると思います。

そして、そこには気心の知れた人との「共感」を感じることができるはずです。

意見が食い違うこともありますし、場合によっては口論になることはあっても、「プライベート」を打ち明けることができるという関係性や、そしてその話題を共有し、共に感じることができるという存在は、親しみを感じることができる貴重な存在に違いありません。

つまり、「プライベート」の話題や「共感」が実感できる関係があれば、親しみを感じられると言っても差し支えないと思います。

個人的な経験から一つ。

筆者は社会人になりたての頃、法人営業を経験しまして、全く成果を挙げることができませんでした。本当のことを言えば、成果を挙げるどころか、お客様と会話をすることすら、嫌で嫌でしょうがありませんでした。

そこで、あるとき、その会社のトップ営業マンである上司に思い切って聞いてみたのです。

筆者「どうして、そんなにお客様と上手くやれるのですか?」

上司「お客様をお客様と思うからだよ」

筆者「え?!」

上司「みんなお客様だと意識するから、その意識がお客様に伝わってしまうんだよ」

筆者「そ・・・そんな・・・確かにそうですね・・・。でも、お客様じゃなかったら、どういう風に思って接しているんですか?」

上司「人間だよ。同じ人間なんだから、いつも礼儀正しく振舞えばそれでいいってもんでもないし、逆に馴れ馴れし過ぎてもいけないし。その程度は個人差があるけどね」

筆者「人間ですか・・・」

上司「君だって、例えば同じ商品を買えるお店が二つあるとして、一方は安いけど初めてのお店、一方は少し高いけど友達が働いているお店だとすると、それが数百円ぐらいだったら、友達のお店で買うでしょ?」

筆者「そうですね」

上司「人間なんてそんなもんだよ。頭では分かっていても、楽というか、親しいところへ行くもんだよ」

筆者「つまり、お客さんとではなく、人間として親しくなればいいというわけですか?」

上司「そのとおり。もっと言えば、最初は親しくなれる人を探して、そして、親しくなれる人を増やしていけばいいんだよ。親しくなる方法は人それぞれだけどね。」

筆者「でも、恥ずかしい話ですが、僕には親しいお客さんがいません・・・」

上司「俺だって、最初の数年間は苦労したよ。でも、あきらめずに、自分なりの方法を探していったんだよ。自分の性格なんかも見極めながらね」

筆者「え?先輩もそんな時期があったんですか?!」

上司「俺だって、最初から順調だったわけじゃないよ(笑)」

筆者「アドバイスありがとうございます。なんだか勇気が沸いてきました!」

この後、筆者は自分なりにお客様と親しくなる方法を考え実践した、その結果、お客様からどんどん注文を頂くばかりか、お客様からお客様まで紹介して頂けるようになりました。

礼儀ある仲にも親しみを・・・。

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