仕事は時間と労働力の使い方で選ぶ~お金に好かれる人、嫌われる人~

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筆者はこれまで、国内外の様々な企業を渡り歩いてきましたが、その過程で経済的にも時間的にも豊かな人に数多く出会う機会に恵まれました。

そんな中から、決して万人向けではありませんが、お金に好かれる人の特徴を紹介していきたいと思います。

筆者が当サイトで紹介している人たちは、いわゆるお金持ちを分析した本のような統計的な裏付けはありません。ですが、個性的な考え方で実際に経済的にも時間的にも豊かな人達の実話をもとに紹介しておりますので、何かのヒントになるのではと思います。

それでは、今回のテーマ「仕事は時間と労働力の使い方で選ぶ」について説明させて頂きたいと思います。

今回は、ほぼ時を同じくして、独立され成功されたAさんと、その逆で苦境に立たされたBさんのお話を紹介します。

それでは、2人を簡単に紹介します。

【Aさん】

有名な宅配業者で勤務したときに貯めたお金で300万円を元手に、31歳のときに独立。

事業内容は、駅近のロッカービジネスとレンタル・ルームビジネス。

【Bさん】

大手日用品メーカーを退職後、1000万円を元手に、42歳のときに独立。

事業内容は、大手フランチャイズのコンビニビジネス。

筆者はたまたま、2人に同じような時期に知り合ったのですが、2人とも事業を開始された頃は意気揚々とされており、事業の成功に情熱を燃やしているようでした。

そして、事業を開始された1年後にお会いしたときは、2人ともどちらも利益はそれほど大きいわけではありませんでしたが、何とか黒字で決算を終えられたということで、安心しておられました。Bさんはやや顔色が悪い気がしましたが…。

それから、時が経つこと数年後…。

筆者の携帯に連絡が入ったのは、Bさんからでした。

待ち合わせ場所を決めて、数年ぶりにお会いしたBさんは…、すっかり老け込み、不安げな表情で白髪も増えて、心なしか体も痩せた感じでした。

何か悪い予感がした筆者はBさんに慎重に現状を尋ねました。

Bさん「実は、働いても働いても利益が出ないんです…。お客さんの数が減っているわけではないんです。むしろ、年々増えているぐらいです。しかし、利益は1年目は黒字だったものの、その後は…。ただ、設備投資や人件費の上昇などを考慮すると…、とても自分の手もとに残るお金はありません…」

筆者「それは辛い状況ですね…」

Bさん「安定感があると思って始めたのですが…、1年中休みなしですし、お店のことが気がかりで夜も安心して眠れません…。それで体調まで崩してしまいまして…」

筆者「体調を崩されたのですか?」

Bさん「そうなんです。幸い、手術で完治したのですが…会社の方は手放すことにしました…」

筆者「え?!会社を手放すことにしたんですか?」

Bさん「もう若くないですし、運良く、事業を買い取りたいという申し出がありましたので…」

筆者「そうだったんですね…大変なときを過ごされたんですね…。」

Bさん「筆者さんには開店当初にお世話になって以来、人事のことや経営のことで色々と相談に乗って頂きましたので、こうしてケジメの挨拶をと思いまして」

筆者「律儀にありがとうございました。お体だけはどうぞ大事になさってください。」

Bさんと別れた、筆者は複雑な思いがありましたが、体も無事で、開店資金ぐらいは回収できたとのことで、わずかの安堵感を胸に、帰路につきました。

それから、程なくして、ビジネスの会合でお会いしたのがAさん。

筆者「Aさん、お久しぶりです。お元気そうですね! もしかして、仕事の方、絶好調ですか?(笑)」

Aさん「あれ、誰かから聞いたの?いやぁ、お陰様で引き合いが多くて、今、事業拡張で忙しくてね」

筆者「いえ、表情を拝見して、順調そうだと思いまして(笑) 凄いですね~」

Aさん「また、人材のことで、あとで相談したいことがあるので、電話するよ」

筆者「ありがとうございます。是非、よろしくお願いします!」

ビジネスの会合を後にした筆者は、好対照のAさんとBさんを思い浮かべながら、「どうしてこんな差が出たんだろう」と考えていました。

あくまで直感ですが、AさんもBさんも年齢の差はありますが、これまでのキャリアなどを聞く限り、どちらの方も甲乙つけがたいほど”優秀”なビジネスマンでした。

筆者は、実はこの後も、様々なケースを通じて、今回と同じような場面に遭遇します。そして、そこで得た一つのエッセンスは

「時間と労働力の使い方」

でした。

コンビニチェーン、ネットショップ、フランチャイズ、美容商品の販売代理店…一見、ブランド名のある企業の傘の下でビジネスを行うというのは、安定感があるように見えますが、その実は、時間と労働力の切り売りになってしまう傾向がありまして、数%の成功者の裏には、頑張っても頑張っても、薄利や赤字に悩まされる日々が待っているという状況があります。

ここでいう、時間の切り売りというのは、言い方を変えれば、労働力と時間を提供する代わりに金銭を受け取るということで、時間と労働力の提供がないと、事業がとたんにストップしてしまうということです。

一方で、Aさんのようなロッカービジネスやレンタルルーム・ビジネスは、人為的な労働力と時間については初期投資が終わってしまえば、もうほとんど掛かりません。つまり、作ってしまえば、あとは注文を待つだけという流れです。

また、Aさんのスタイルであれば、一度、流れを作ってしまえば、あとは量産できますので、利益やビジネスのノウハウがどんどん蓄積されていきます。

もちろん、Aさんのビジネスでも、参入障壁が低いと簡単に真似されてしまい、Aさんのビジネス優位はあっという間に崩れてしまいます。

ただ、Aさんのビジネスでは、ランニングコストがほとんど掛かっていませんので、初期投資を回収した後であれば、仮に他社が参入した後も、多少利益率が下がったとしても、利益はしっかりと残しやすいと言えます。

【まとめ】

仕事を考えた時に、時間と労働力の切り売りのモデルの場合は、なかなか累積的に利益やビジネスを拡大していくのは、難しいです。しかし、時間と労働力の切り売りではないモデルを構築できると、それは、利益やビジネスを累積的に拡大できる大きなチャンスになります。

お金に好かれる人は、合理的に考え、時間と労働力の切り売りに終始しない方法で仕事をしている傾向があります。

事業を興したり、独立を将来的に考えている人は、何かを始める前に、時間と労働力という視点で「働き方」を考えてみるのも一つの方法だと思います。

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